【眠りのQ&A】羊を数えても眠れない?|眠れない夜は、心を「好きな景色」に遊ばせて

鍼灸師の養生コラム

金曜の夜にお届けする、短い眠りのQ&Aです。今夜は、眠れない夜の定番、あの方法について。

Q. 「眠れないときは羊を数えるといい」って本当ですか?

A. 残念ながら、数えるほど目は冴えがちです。でも「数える」を「浸る」に変えると、眠りにぐっと近づきます。

羊を数えはじめたのに、いつのまにか「あれ、今なん匹だっけ」と数えなおしている——あの、かえって頭が働いてしまう感じから見ていきましょう。

なぜ数えるほど、目が冴えてしまうのか

そもそも羊を数える習慣は、英語圏で生まれたもの。眠りを意味するsleep(スリープ)と、羊のsheep(シープ)は音がよく似ていて、繰り返すうちに眠りへ誘われる——そんな言葉遊びが始まりだといわれています。

ところが日本語で「一匹、二匹」と数えると、この語呂は消えてしまいます。残るのは、数を追う作業だけ。「今、なん匹?」と気になった瞬間、頭はもう仕事モードに戻っています。

面白いのは、ここから先です。オックスフォード大学の研究では、羊のような単調なものを数えるより、砂浜や滝といった心地よい景色をありありと思い浮かべた人のほうが、早く眠りに落ちたと報告されています。ただ「考えごとをやめよう」とするより、景色に没頭するほうが効くというわけです。

鍼灸師のひとこと:眠りは「気が下りる」ときに訪れます

東洋医学では、あれこれ考えて眠ろうと気を張るほど、意識も気も頭のほうへ上っていくと考えます。目が冴えるのは、そのため。

反対に眠りは、上った気がすっと下りて、心が静まったときに訪れるとされています。「数える」のをやめることは、頭に集めた力を、そっとゆるめる合図でもあるのです。

今夜は、数えるより「浸る」

やり方はかんたんです。羊はいったん柵の外へ放して、あなたのいちばん好きな場所をひとつ思い出してください。夏の海でも、木漏れ日の森でも、実家の縁側でも。

そうしたら、数えずに、ただそこに「居て」みます。足の裏に触れる砂の熱、頬をなでる風、遠くの波の音、草の匂い。数字ではなく、五感でいっぱいにするのがコツです。

上手に思い描こうと気負わなくても大丈夫。ぼんやりで十分です。意識が景色のほうへ移ったぶんだけ、頭の中のざわめきは、自然と小さくなっていきます。

今夜は羊を数えるのをやめて、いちばん好きな景色をひとつ、思い出すところから。数えるのではなく、そこへ出かけるつもりで。

布団に入ると考えごとが止まらない、という方は、夜の考えすぎを止める思考整理法|スムーズな入眠にもあわせてどうぞ。好きな景色を思い浮かべながら、どうぞゆっくりおやすみください。

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