胃腸が弱い人の睡眠の質を上げる食事|鍼灸師が教える夜の養生

睡眠セルフケア

少し食べすぎただけで胃がもたれる。夕食の内容しだいで、夜中に目が覚めたり、朝すっきり起きられなかったり。

もともと胃腸が弱い方にとって、夕食の食べ方は、その夜の眠りの質を大きく左右します。

胃腸と睡眠は、思っている以上に深くつながっています。夜の食事を少し見直すだけで、眠りの深さが変わってくるのです。鍼灸師の視点から、その工夫をお伝えします。

胃腸が弱いと、なぜ眠りが浅くなるのか

食べたものを消化するには、2〜3時間かかります。胃腸が消化活動をしている最中に眠ると、休んでいるはずの体の中で、内臓だけが働き続けている状態になります。

すると、体は深い睡眠に入りにくくなります。胃腸に血液が集まり、本来眠っている間に進むはずの回復作業が後回しになってしまうのです。

もともと胃腸が弱い方は、消化に時間がかかりやすいぶん、この影響を受けやすくなります。「夕食が重いと、翌朝がつらい」という感覚には、こうした理由があります。

東洋医学の「脾胃」という考え方

東洋医学では、消化吸収を担う働きを「脾胃(ひい)」と呼びます。脾胃は、食べたものを「気血」というエネルギーに変える、体の土台のような存在です。

もともと胃腸が弱い人は、東洋医学的には「脾胃が弱い体質」と捉えられます。脾胃が弱いと、食べたものをうまく気血に変えられず、疲れやすさや眠りの浅さにつながると考えられています。

大切なのは、胃腸を無理に働かせないこと。脾胃をいたわる食べ方を選ぶことが、めぐりめぐって眠りの質を支える——これが東洋医学の考え方です。

胃腸にやさしい夕食、3つの工夫

胃腸が弱い方が眠りの質を上げるために、夕食で意識したい工夫が3つあります。

①夕食は就寝の3時間前までに
眠る前に消化を終えておくことが理想です。難しい日は、夕方に軽くおにぎりなどを食べ、帰宅後は消化のよいものを少しだけ、という分け方もおすすめです。

②消化に重いものを避ける
揚げ物や脂の多い肉は、消化に時間がかかります。胃腸が弱い日は、豆腐・卵・白身魚・やわらかく煮た野菜など、やさしいものを選びましょう。意外なことに、ごぼうやきのこなど食物繊維の多いものも消化に負担がかかるため、調子が悪い日は控えめに。

③温かく、やわらかく調理する
煮る・蒸す・茹でるといった調理法は、胃腸の負担を減らします。煮込みうどんや卵がゆ、温かいスープなど、体を冷やさずに消化しやすい一品が、夜の胃腸にやさしく寄り添います。

胃腸をいたわる「公孫」のツボ

胃腸が弱い方のセルフケアに、鍼灸師として私がよくおすすめするのが、足の内側にある「公孫(こうそん)」というツボです。

場所は、足の親指の付け根の出っぱった骨から、かかとに向かって指をすべらせ、止まるあたりのくぼみ。土踏まずのアーチの少し前のあたりです。

公孫は「脾経」を代表するツボのひとつで、もともと胃腸が弱い人の消化機能を支え、胃のむかつきや食後の膨満感をやわらげるとされています。古くから「胃腸の調子を整える貴公子のツボ」と呼ばれてきました。

公孫(こうそん)の押し方

足の甲側から足をつかむように親指を立て、息を吐きながらゆっくり5秒押して、吸いながら力を抜く。左右それぞれ5回繰り返します。

食後すぐは避け、食事から30分以上経ってから行うのがおすすめです。食欲がないときは、左右どちらかにしこりを感じることもあります。その側を重点的にいたわってあげてください。

夜の胃腸をいたわる、もう一つの習慣

食事の工夫とツボに加えて、覚えておきたい習慣があります。

寝る前のお酒は控えめに。寝酒は寝つきをよくするように感じられますが、内臓がアルコールを分解するために働き続けるため、眠りが浅くなりやすくなります。胃腸が弱い方は特に、夜のアルコールはほどほどにするのが安心です。

そして、夕食後にひと息ついてから眠ること。食後すぐに横になると消化が滞りやすいので、食器を片付けたり、ゆっくり過ごしたりする時間を少し挟んでから、布団に入りましょう。

まとめ

胃腸が弱い方にとって、夜の食事は眠りの質を左右する大切な要素です。

就寝3時間前までに、消化にやさしいものを、温かくやわらかく。そして公孫をいたわり、夜のお酒は控えめに。

胃腸を休ませることは、体の回復力を取り戻すことでもあります。今夜は、胃腸にそっとやさしい一皿を選んで、深い眠りへの準備を整えてみてください。

※昼間の食後の眠気も気になる方は、こちらの食後にすぐ眠くなる原因と防ぐための食事法もあわせて参考にしてみてください。

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