お灸教室、第2回です。前回は火のつけ方と消し方だけを練習しました。今夜はいよいよ、ツボの探し方です。
「図の通りに押しているつもりなんですけど、合ってる気がしなくて」——ツボの話になると、施術室ではこの言葉をよく聞きます。
先にお伝えしたいのは、ツボは米粒のような「点」ではない、ということ。合っているか不安になるのは、狙いが小さすぎるせいかもしれません。
ツボは「点」ではなく「くぼみ」です
ツボ——正式には経穴 [1] といいます——の多くは、骨のキワや、骨と骨が出会う場所の、小さなくぼみにあります。
大きさのイメージは、点ではなく指先ひとつぶん。ミリ単位で外したら無効、というものではありません。
探り当てたときの目印は、感覚です。押すと、いた気持ちいい。じんわり響く。まわりより少しくぼんでいて、ひんやりしていたり、皮膚がかさついていたりすることもあります。
そして、お灸のいいところは、多少ずれても「その一帯が温まる」こと。点で当てる緊張は、手放して大丈夫です。
自分の親指が、自分専用のものさし
ツボの位置はよく「手首から指3本分」のように説明されます。このときの「指」は、誰の指だと思いますか。
答えは、あなた自身の指です。
東洋医学には同身寸法 [2] という測り方があります。親指の横幅がその人の1寸、人差し指・中指・薬指をそろえた幅が2寸、小指まで4本そろえた幅が3寸。
体の大きさは人それぞれだから、ものさしも本人の体を使う。だから、お子さんのツボはお子さんの手で、あなたのツボはあなたの手で測ります。
定規もメジャーも要らない。生まれたときから、専用のものさしを持ち歩いている——二千年前の人たちの、実用的でやさしい発明だと思います。
探し方・3つの手順
- 骨を目印に、大まかな場所へ。ツボの多くは骨のキワに並んでいます。手首のしわ、すね、くるぶし。まず骨を触って地図を開きます。
- 指の幅で測る。「指3本分」なら自分の3本をそろえて当てる。だいたいで構いません。
- 押して、確かめる。そのあたりを指の腹でゆっくり押し、いちばん「いた気持ちいい」場所、くぼんで指が収まる場所を探します。見つかったら、そこがあなたのツボです。
押す強さにも目安があります。押している自分の親指の爪が、うっすら白くなるくらい。息をふーっと吐きながら5秒かけて押し、吸いながら5秒かけて離す。力まかせにぐりぐり押す必要は、まったくありません。
練習してみましょう:「合谷」
今夜の練習台は、手の甲にある合谷(ごうこく)。場所を探しやすく、教科書でも最初に習う定番のツボです。
親指と人差し指の骨を、手の甲側からそれぞれ付け根へたどってください。二本の骨が出会うところに、くぼみがあります。

そのくぼみの、人差し指の骨のキワ。押すと、ツーンと響くような、いた気持ちいい感覚があれば、そこです。
ちなみに合谷は、左右どちらの手にもあります。両方探して、響きがはっきりするほうから始めてください。左右で感覚が違うのも、体からの情報のうちです。
見つかったら、前回の据え方でお灸を1個。【巡のお灸教室】第1回 最初のお灸は、ツボを狙わなくていいの手順のままで大丈夫です。
お灸に進む場合のタイミングは前回と同じく、あなたが続けやすい時間で。お風呂上がりだけは、皮膚が柔らかく火傷しやすいので避けてください。
お灸教室・毎回の約束(安全のきほん)
- 熱いと感じたら我慢せず、すぐ外す(水ぶくれを防ぐいちばんの基本です)
- 同じ場所に続けて何個も据えない(慣れるまでは1〜2個まで)
- 顔・粘膜・湿疹や傷のある場所には使わない
- 妊娠中の方、糖尿病などで皮膚の感覚が鈍くなっている方、飲酒時・発熱時は自己判断で行わず、かかりつけ医や鍼灸師に事前に相談を
- 窓を開けるか換気扇を回し、終わったら水で完全に消火
- お風呂上がりは皮膚が柔らかく火傷しやすいため避ける(入浴の前後1時間は空ける)
- だるさやのぼせ(灸あたり)を感じたら、その日は切り上げて水分をとって休む
よくあるつまずき
Q. 押しても、何も感じないのですが。
場所を2〜3ミリずつずらして、骨のキワを探ってみてください。それでも響かない日は、体がその刺激を必要としていない日かもしれません。感覚は体調で変わります。感じない日は深追いせず、そこで終えていいのです。
今週の宿題は、合谷を見つけること。お灸まで進まなくても、自分のものさしで自分の体を測ってみる——それだけで、体の地図は開き始めます。次回は、眠りのためのツボ選びに進みます。


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