金曜の夜にお届けする、短い眠りのQ&Aです。今夜は、朝の目覚めにまつわるこの質問から。
Q. 夢をよく見るのは、眠りが浅い証拠って本当ですか?
A. 心配いりません。じつは誰もが、毎晩何度も夢を見ています。違いは「覚えているかどうか」だけ。気にかけたいのは夢の数より、朝の体の感じです。
目覚ましを止めたあとも、夢の続きがまだ瞼の裏に残っている——「昨夜も夢ばかりだった、ちゃんと眠れていないのかな」と不安になる、あの朝の話です。
「夢ばかりの夜」ができる仕組み
眠りには、深い眠り(ノンレム睡眠)と、体は休みつつ脳が働いている眠り(レム睡眠)があり、一晩のうちにおよそ90分の波で交互にやってきます。夢は、この波が巡るたびに見ているとされています。
それでも「毎晩見る人」と「めったに見ない人」がいるのは、記憶に残るかどうかの差。夢は、見ている最中かその直後に目が覚めたときだけ、持ち帰ることができます。
しかも明け方に近づくほど、レム睡眠の割合は自然と増えていきます。朝方の夢をよく覚えているのは、眠りの設計として当たり前のこと。夢を覚えていた朝が、そのまま「眠れなかった夜」だったとは限らないのです。
鍼灸師の豆知識:二千年前の医学書に「夢の章」があります
東洋医学の古典『黄帝内経・霊枢(こうていだいけい・れいすう)』には、「淫邪発夢(いんじゃはつむ)」という、夢だけを扱った章があります。おなかがひどく空いていると何かを手に入れる夢を、満ち足りていると人に分け与える夢を見る——そんなふうに、体の状態と夢の中身を結びつけて記しています。
昔の人にとって夢は、良し悪しを占うものではなく、体から届く手紙のようなもの。眠りを責める材料ではなかったのです。
ものさしは、夢ではなく「朝の体」
ですから、確かめる場所を変えてみてください。夢を覚えていても、起きたとき体が軽く、日中も普通に過ごせているなら、その眠りはちゃんと働いています。
一方で、嫌な夢で夜中に何度も目が覚める、夢の多い朝ほどぐったりしている——そんな日が何週間も続くなら、それは夢のせいではなく、心と体が休みきれていないサインかもしれません。日々の緊張をゆるめる時間をつくり、つらさが続く場合は医師など専門家に相談してみてください。
今夜の一歩は、明日の朝、目が覚めたら夢の中身より先に「体は軽いか、重いか」をひとこと確かめること。ものさしを持ち替えるだけで、夢は心配の種から、ただの夜の風景に戻っていきます。
考えごとや緊張で心が静まらない夜は、ストレスで脳がのぼせて眠れない夜に。気を落ち着かせる睡眠セルフケアもあわせてどうぞ。今夜見る夢が、どうかやさしいものでありますように。


