【眠りのQ&A】静かにするほど眠れないのは、耳がまだ働いているから|夜の見張り番をなだめる

眠りのQ&A

金曜の夜にお届けする、短い眠りのQ&Aです。今夜は、寝室を静かにするほど深まる、こんな悩みから。

Q. 眠るために寝室を静かにしているのに、かえって小さな物音が気になって眠れません。神経質すぎるのでしょうか。

A. あなたの耳は、とてもまっとうに働いています。じつは無音の部屋ほど、耳は熱心に音を探しはじめるのです。静けさは、必ずしも眠りの味方ではありません。

時計の秒針、冷蔵庫のうなり、遠くの車。しんと静まった部屋で、ふだんは聞こえない音ばかりが浮かび上がってくる。あの、耳だけが冴えていく感じ。理由は、耳という感覚の役目にあります。

目は閉じられても、耳には蓋がない

眠るとき、私たちは目を閉じます。でも耳を閉じることはできません。眠っているあいだも、耳は音を拾いつづけています。危険が近づけば、すぐ起こせるように。

つまり耳は、夜通し起きている見張り番。だからこそ、部屋が無音に近づくと、見張り番は「何か聞こえないか」といっそう耳をそばだてます。静けさの中では、小さな音ほどくっきり際立つ。神経質だからではなく、静かにするほど音が目立つのは、耳の設計どおりなのです。

だから対策は、音を消すことではありません。見張り番に「変わらない音」を聞かせて、安心して持ち場をゆるめてもらうこと。扇風機や換気扇の低いうなりで眠りやすくなるのは、そのためです [1] 。

鍼灸師の豆知識:東洋医学では、耳は「腎」とつながっています

東洋医学では、耳は腎 [2] という、いのちの蓄えを預かる場所と結びつくと考えられてきました。そして腎は、夜・冬・そしておそれの感情とも結ばれています。

疲れがたまった時期に、ふだん平気な音がやけに気に障る——施術室でもよく聞く話です。音に敏感になっている夜は、耳を責めるより、蓄えが減ってきた合図として受けとってあげてください。

無音をつくらず、「変わらない音」をひとつ置く

やることは、足し算です。静けさを完璧にしようとする代わりに、ずっと同じ調子で続く音を、小さくひとつ。扇風機の風、換気扇、雨音や川の音の音源でもかまいません。

コツは音量です。意識を向ければ聞こえるけれど、放っておけば気づかないくらいの小ささに。音楽や人の声は、意味を追ってしまうので向きません。抑揚のない、退屈なくらいの音がいちばんです。

今夜ためすなら、これだけ。眠る前に音を消しきらず、ひとつだけ、低く単調な音を残しておく。見張り番の耳に、「異常なし」と伝わる夜が続けば、体は少しずつ、音への構えをほどいていきます。

耳や首まわりの緊張が続く方は、布団の中で5分!自律神経を整えて眠気を誘う『安眠のツボ』3選もあわせてどうぞ。今夜の寝室は、静かすぎないくらいがちょうどいい。

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