金曜の夜にお届けする、短い眠りのQ&Aです。今夜は、日暮れが早くなった頃に増える、この相談から。
Q. 秋になってから、夕方は眠いのに、いざ布団に入ると寝つけません。夜の過ごし方が悪いのでしょうか。
A. 夜の過ごし方だけの話ではないかもしれません。今夜の眠気は、じつは今朝、光を浴びたときに種をまかれています。
暗くなるのが早くなって、夕食のあとにはもううとうと。なのに歯を磨いて布団に入ると、目がぱちりと開く。あの、ちぐはぐな夜。鍵は、朝のほうにあります。
眠気は、朝まいた種が夜に実る
朝、目に光が入ると、体はその瞬間に一日の時計を合わせます。そしておよそ15時間後に、眠りを促すホルモンが出はじめる [1] ——そんな長いリレーが、朝から始まっているのです。
つまり夜の眠気は、朝まいた種の収穫。7時に光を浴びた日は、22時ごろにその実が熟しはじめます。逆に朝の光が薄いままだと、種をまき忘れた畑のように、夜になっても実りが遅れてしまうのです。
そして秋は、そもそも日の出が遅く、朝の光が弱い季節。眠りが不安定になりやすいのは、あなたの夜が乱れたからではなく、季節が畑を暗くしているから。夕方の眠気も、日暮れが早まって、体が「もう夜だ」と勘違いしやすくなるためです。
鍼灸師の豆知識:東洋医学は、秋を「早寝早起き」の季節と書いています
古典『黄帝内経』 [2] の養生の章には、季節ごとの過ごし方が記されています。春夏は夜ふかしを許し、秋は「鶏と共に起きよ」——鶏が鳴く頃に起きなさい、と説くのです。
秋だけ、起きる時間をわざわざ指定している。二千年前の人も、秋の眠りは朝の側から整うと知っていたのかもしれません。
種をまくのは、たった1分でいい
やることは、夜を頑張ることではありません。朝、起きたらカーテンを開けて、窓辺で1分。曇りの日でも、屋外の光は室内の照明よりずっと強く、種まきには十分です。
朝がどうしても暗い時期は、通勤の一区画だけ日の当たる道を選ぶ、朝食を窓際でとる——それだけでも畑は明るくなります。夕方うとうとしてしまう日は、15分程度の短い仮眠にとどめると、夜の実りを食べ尽くさずにすみます。
寝つけない夜を責める前に、明日の朝、カーテンを開けて一度だけ空を見上げてみてください。今夜の眠りの種は、その光の中にあります。
夜の光が気になる方は、寝る前のスマホをやめられない人のためのツボを使った入眠術もあわせてどうぞ。日が短くなる季節は、朝の光がいっそう貴重になります。


